【第11話】街角でプレスリーに出逢った
その日は、デトロイトから少し離れたバトルクリークという小さな街のホテルで宿泊だった。
(小さな田舎ホテルだったけど、妙に落ち着けるホテルで個人的には大変気にいった。)
(「マッキャメリープラザ」というホテルである。)
19:00を少しまわった頃、同行者達と夕食に出かけた。
ホテルから10分ほど歩いたところにおいしいレストランがあるという。
数人連れ立って夜の町(日本で言うと○△市民会館がある通りを想像してください。)を歩き、ケロッグ(コーンフレークで有名な)の工場を抜けて行くと、何処からともなく「キャー」とか「イェーイ」とかいう嬌声が聞こえてきた。
きっと市民体育館でバスケットの練習をやってる歓声だろ、などと言いながら通りを歩いていると、だんだんその声がエスカレートしてくるではないか!
嬌声は体育館からではなく、交差点から少し進んだ建物の入り口付近から聞こえてくる。。。
なんと、通りの歩道から、10名ほどの若い女性(子供)が車道に向けて「キャー」と叫んでいる。
「なんじゃ?」「どういう事や?」「どうしたんだ?」我々は口々に叫んだ。
すると、中年アメリカ男性が小走りにやってきて、「お願いがある。ちょっと我々に協力してくれないか?ナニ、時間はとらせない、5分だけでいいのだ。実はTVコマーシャルのロケをやっている。彼女たちに混じってキャーキャー言ってくれないか?」との事。
「どうする?」「どうするって、行くしかないだろ。」「どっちへ?」「こっちに決まってる!」と、キャーキャー言ってる女性たちの方に足を向けたのである。
ナニにキャーキャー言えばいいの?とりあえず、彼女たちに混じって、車道に向かってキャーキャー言えばいいのさ。
そんな訳で事態を今ひとつ飲み込めないまま、女の娘たちに混じって日本人男性5人が「ワー」とか「ウヘー」とか、しまらぬ声を発していたら、通りの向こうから真っ白のリムジンカーが走ってきた。。。
リムジンカーは「ホヘー」とか「ワォー」とか間抜けな」声で叫んでいる我々の前に停まり、ドアが開いた。
そして、リムジンから黒のスーツに身を固めた数人の男に囲まれて現れた人物は!なんと、ナント、「プレスリー」だったのである!
びっくりしたね。思わず「ホヘー」の叫び声がが「イヤァー」「ヘーィ!プレスリー!」に変わってしまったもん。
興奮覚めやらぬまま、写真を撮っていると、「OK、サンキュウ。ロケは完了した。放映は明日夕方7:00だ」なんてデレィクタに言われ、10分足らずのロケは終わった。
TVの画面では、金髪の女の娘の後ろに俺が映っているはずである。アメリカのTVに出演したのである!!
すごいでしょ。えっ、何のロケだったって?それがわからないのですよ。多分、このプレスリーが入っていった会館は、いろいろなイベントに使われているのでしょう。「かつて、プレスリーもショーをした○△会館のご利用をどうぞ!」みたいなCMだったのだと思います。
このあと、おいしいレストランで食事をしたのですが、いやぁ値段が安かった。30$で、久しぶりにおいしい食事ができた。(もちろん、ビール・ワイン・チップ込みで)
メニューにROLLING ROCKという地ビールがあったので、思わず名前につられて注文してしまった。
アメリカのビールは、はっきり言っておいしいものは少ないです。ちょっと冒険だったのですが注文してしまった。他の皆は無難にバドワイザーを頼んでいるのに。。。
でも、おいしかった。ROLLING ROCK!
スープも頼んだ。本日のお勧めチキンスープである。
すると、ウエイトレスの娘が「ヌードル?それともチキンドンブリ?」って聞いた。
「えっ?…」ヌードルというのは分かる。スープの中にパスタが入っているのであろう。
が、チキンドンブリというのは何か?チキンのドンブリがスープの中に入っているのか?
いわば、チキンの”おじや”かい?
いやぁ、分からん。分からんので注文した。「OK、チキンドンブリスープ、プリーズ」
どんなスープかって?
これがね、チキン味スープの中に「小麦粉団子」が入っていたのです。
小麦粉団子のこと「ドンブリ」って言うのか知らん。英語通の方、教えてください。
ま、何はともあれ、プレスリーに逢えたし、おいしい食事できたし、このミズリー州の小さな町はホントいい町だった。
最後の写真は「チキン丼」の注文を聞いてくれたウエイトレスの娘です。(Photo by Mr.takenaka)