【第4話】港町ブルース(シアトル)その1
絵葉書ではない。私が撮った写真である。写真の下手な者にもこんな写真が撮れるのである。
西海岸の比較的北側に位置する港町シアトルはリゾート地である。日本で言えば気仙沼みたいなところである(?)。雲が低い位置で立ち込めている港の風景はなんとも云えぬ情感がある。
そして、この写真を撮った近所に「ジミヘン記念館」がある。。。
すまん…。時間の都合で、行けなかった。ジミヘンが膝を折ってギターを弾いている銅像が見られなかった。今回の旅で悔やまれるひとつである。
しかし、この街でアメリカ大陸で初めて生の音楽に接することができた。
場所は「スターバックス」というコーヒーショップの店の前。スターバックスってのは、日本でももう有名になってるコーヒースタンドです。(関西ではドトールコーヒーのほうが有名だけど)
このシアトルがスターバックスコーヒー店の発祥の地で、1号店は海岸通から一筋入ったところにあります。せっかくだからこの1号店でコーヒーを一杯飲みましょうという事になり立ち寄ったのです。
余談ですが、スターバックスってのは個人のお気に入りの味を作ってくれることで有名です。「砂糖はどれ位入れて、ミルクの量はどうで…」なんて細かく注文を聞いてくれるのです。そうして客のレシピに従って調合されたコーヒーがカップでデリバリされる、という素晴らしいシステムのコーヒーショップなのである。
しかーし、ここはUSAである。冷静に考えてみよう。
この店で私がコーヒーを頼むと、全ての好みの量を英語で尋ねられるのである。。。。。。
困るでしょ?困るのです。そう、断固として困るのです。日本でインスタントコーヒーを「1:1で砂糖抜きね」なんて作ってもらうように簡単にいかないのである。「シュガーフリー、アンド ミルク(いや、アメリカではクリームって言ったっけ?)…。ワオー、もうお任せだぁ(お任せって、英語でどう言えばいいのだぁ!)」なんて混乱していると、後ろに並んでいるお客さんに「何、やってるんだ。そんな奴はスターバックスには来るな!」なんて怒られそうになる。どうしたらいいんだぁ!!
で、現地のガイドさんに聞いたら「そういう時はショート ラテ プリーズって言えばややこしい調合に答えなくて、おいいしいコーヒーが飲めます。簡単です。」と教えてもらった。おぉ、ええ事聞いた。
話が長くなりましたが、そんな訳で、さっそうと店に入り「ショート ラテ プリーズ、フフン」なんて注文をして受け取ったコーヒーを手にしながら、ストリートミュージシャンの歌に耳を傾けたのです。楽器を持たない黒人5人組がゴスペルを唄っていました。赤黒のジャンパー着たおっちゃんがメインヴォーカルで、あとの人はコーラスと合いの手担当です。
渋かったぁ。ソウルフルだったぁ。ちょうど霧雨が降ってきてね、ちょいと濡れながらコーヒー片手に聞いていたのです。
隣では、ヤンキーの兄ちゃんが「イェイ」なんて言いながら身体でリズムをとっている。ガールフレンドに「ええ味してるやろ、今歌ってるのは”聖者が街にやってくる”だぜ。学校で聞いたマーチみたいな曲とはまったく雰囲気ちがうやろ」みたいな事を言ってる。
もっとゆっくり聞いていたかったのだが、時間が無い。15分ほどで、泣く泣く足元に置いてある赤い壺に1$入れて、この場を後にした。それにしても、おいしいコーヒーでした。
きれいな町並みを見ながら、ホテルにたどり着いた。
シアトルではJazz Alleyというライブハウスに行こうと決めていた。
現地のガイドさんに訪ねると運良く滞在するホテルから歩いて行ける距離にある。
シアトルには3日間滞在である。時間を見つけて、出かけよう!
そう決意してアメリカ初日は暮れてゆくのであった。