【第6話】ストリートブルース(デトロイト)その1
デトロイトは工業都市である。学校でそう習ったはずだ。確かに古き良き時代のアメリカでは、自動車の発展と共に人が集まり、栄華の時を過ごしたにちがいない。しかし、日本自動車の高性能・高品質な市場拡大に伴いアメリカ自動車産業は下落の道をたどった。。。。。そこからこの町の悲劇は始まった…。
というのが、この街デトロイトのブルースである。
’80年代は、少年による犯罪が10,000件(10年間で)発生したそうである。ハロウインの夜は民家が少年のいたずらによって放火され、町は荒れ放題。
毎日事件が発生していた。。。10年間に10,000件というのは、計算すると1年間に1,000件である。言い換えれば、毎日3件の少年犯罪がこの町で起こっていたという事である。
窃盗、放火、殺人もあったろう。それもこれも荒んだ町の生活から起こってきたのである。その昔、インフラの要となっていた鉄道の駅(日本で言えば名古屋駅っていうところか?)は、利用者の激減と共に廃墟になってしまったとか…。
右の写真がその廃墟となった駅、デトロイト・グランド・セントラル・ステーションである。
もう使われていないこの駅。写真でおわかり頂けるでしょうか?窓ガラスは割れ、取り壊す事もできず、そのまま大きなオブジェとなって町の真中に放置されているのです。
自由経済の国アメリカ、保護経済のニッポンとは違って競争に負けたらおしまい。町がどうなろうと、そこに住む人々の生活がどうなろうと知ったことじゃない。そんな冷たさがひりひりと感じられて、この十数年のデトロイトの人々の苦労が心に突き刺さったのでした。
自分の町が、時間と共に荒んでいく…そんな経験が私にあっただろうか?
そんな風に考えながら町を眺めていた。
さて、デトロイトといえば「デトロイト・タイガース」。今はコメリカという企業に買収されコメリカタイガースになり、ホームグラウンドも移転したが、昔のホームグラウンドは、このデトロイト・グランド・セントラル・ステーションのほんの近くにあります。
写真は、チケット売り場だったのでしょう。
なんかトラのマークを見ると妙な親近感が沸いてしまいます。
うちのバンドのテツ@Kbが喜ぶであろうとタイガースのキャップをお土産に買ってきましたが、私もこの球場を見た時は、思わず小躍りしたものです。
見てください、スタジアムの電光掲示板。
色使いやら、とっても似てるでしょ。○んし△タイガースに!
自動車工場の仕事帰り、たくさんの労働者が、この球場にやってきて一投一打に一喜一憂していたかと思うと、これまたBLUESを感じられずにいられなかった。
関西人はブルース好きである、というのが何となくわかるでしょ。
「この町を離れたいけど離れられない、どうせ落ちるならこの町といっしょに落ちてやろう」みたいな変な同胞心というか、楽観主義というか、何も考えてへんというか、そんなええ加減さが感じられます。
そんな事を考えながら、タイガース球場を眺めていた。(よぅ、考えながら眺める奴やなぁ)
しかーし、デトロイトは復活に向け頑張っているのです。
どう、がんばっているかというと、自動車産業はJapanを追い越せとばかりに新しい戦略でもって復興を果たしつつあります。
そして町は、「カジノを作って、よそに金が流れるのを防止するとともに、逆によそから金を集めたろ」という魂胆(?)で、カジノ誘致をしています。ちょうど訪問した日、デトロイトで3つめのカジノオープンという事でNEWSされていました。
これが又、うまくいってるようでデトロイトの町は昔のような活気を取り戻しつつあるようです。
で、話に聞くところによると、このカジノ町おこしを参考に、「日本で初のカジノオープンを目指す!」と、とある都市の市長さんがデトロイトに視察訪問しているとか。
その市長さんってのは、なんと(Stoneやん、聞いて)広島市長らしいのです。
(これがガセネタやったらごめんね。)
そんな訳で、余計に愛着が沸いたデトロイトという街です。
またもや、デトロイトのすべてを語れないまま紙面が尽きた!
「その2」として続編をお届けします。
今日は、このへんで失礼!