【第8話】サンセットブルース(ロサンゼルス)その1
’70年代、刺激的な音楽が西海岸からたくさん届いた。
イーグルスやジャクソンブラウン、リンダロンシュタット…。
彼らはベトナム戦争の終結や夢のイベント・ウッドストックの終わりと入れ替わるように、現れた。
若者の悩みや愛、希望を歌にして私たちのところに届けてくれた…。
彼らのアルバムを手当たり次第買い求め、辞書を片手に和訳したものである。
大学ノートにいっぱい訳詞を書きなぐり、「うんうん、そうだよな。そう」なんて極東アジアニッポンの青年が西海岸の若者のライフスタイルと感性に共感したのであった。
そう、私にとってロサンゼルスは夢と憧れの街だったのです。
いつかロスに行き、あの燦燦と降り注ぐ太陽の光を浴びて暮らしたい…。そうも思った。
しばらくして、ポ○イという雑誌がウエストコーストを紹介しはじめ、日本の若者はこぞってサーファーになっていった。
この頃から徐々に興味が薄れ、いつしかロスは私の心の中でそんなに大きな存在では無くなってしまった。
悶々としていたこの頃、作った歌に「アメリカ…そこに居るのなら、返事をしておくれ…」というフレーズがある。
この曲を境に音楽もやめた。24歳の時、かれこれ20年前のことである。
そして10年間、音楽から遠ざかった…
やがて、TT.BANDのメンバーであるSHOやTETSU、KINをはじめ沢山の仲間に励まされ、又10年振りに音楽をやりはじめた。。。1990年、34歳の時である。
そんな人生を過ごしてきた。
今やもうすっかり憧れでは無くなったたロス、アメリカ行きが決まってジワーッと昔の思い出が蘇ってきたのです。
昔の恋人に会える…そんな思いがロスの街にありました。
相当舞い上がっていたのでしょう。帰国後カメラに収まったロスの写真があまりにも少ない。
画像に撮るより、心の中に写しておきたい。そんな思いだったのでしょうか?
イーグルスの有名な曲「ホテルカリフォルニア」のジャケットになったビバリーヒルズホテルはサンセットブルーバードにあります。一泊320$の高級ホテルです。(もちろん、宿泊はしていません)
リンダがウェイトレスしていて、イーグルスやジャクソンブラウンが出演していた「トルバドール」というライブハウスはサンタモニカブルーバードにあります。
いづれも車を走らせればすぐに行ける所にあったのですが、結局、ロスではギターを買う為、四苦八苦の時間を費やし、これらの憧れの場所には行けずじまいでした。
で、ロスを離れる夜、右の写真に写っている「SamGoody」というレコードショップで「ジャクソンブラウン」と「ジェイムステイラー」のライブDVDを買いました。(DVD1枚が23$。ディスカウントで19$で買えました。安いでしょ。)
この店はちょっとした楽器の小物も売っていて、「アメリカお土産プレゼント」に掲載しているストラップやピックは、ここで買いました。
ひとりで、買い物したりコーヒー飲みながらロスの街を歩いたりしていると、「あぁ、やっぱり20年前に訪れるべきだった…」と妙に考え込んでしまった。胸がつまる思いで、ひとりロスの夜を楽しみました。
今回は「BLUESを訪ねて」というテーマにも関わらず、思い出話に終わってしまった感がありますが、申し訳ない、そっとしてやっておいてください。
語るには、あまりに多くありすぎて…。