vol 28.手工ギターたち(Guild Of Japan)
2002年4月20日・21日と大阪・吹田メイシアターにてGUILD OF JAPANが開催された。
オールマン(Webオーダーメイド専門ギターショップ)のメルマガで、この催しを知り、出かけて行った。
入口で入場料700円也を支払い、会場に入る。
出迎えてくれたのは、ハンドメイドギターとそのルシアーたちであった。
目移りするほどの沢山の手工アコースティックギターが並べられている。
この催しは、展示即売会ではなくて、ルシアー(製作者)と会話しながらその作品を触らせてもらえるというもので、ギター好きな者には有難い企画なのである。(もっともこの場で直接製作者に発注することも可能である。)
とりあえず会場をグルっとひとまわりしてから、オールマン(兵庫県)のコーナーに立ち寄った。
Webでメールのやりとりやメールニュース、サンプルギターの音源CDを送ってもらったりでお世話になっているご主人と、今回初対面できた。(気さくなかたでした。)
(ご主人はルシアーではありません。笑。ご主人はギターのコンセプトを企画されていて、製作者はあの有名な塩崎雅亮氏です。詳しくはオールマンのサイトにて。)http://www.allman.co.jp/
さて、2本のギターを出展されており、試奏させていただいた。
AJA(エイジャ)とTSQ(タスク)の2本。
AJAのほうは高音がすごく綺麗な音色。鈴をころがすような…っていうあの音色!
TSQはバランスが非常に良く、弾きやすい。(ネック幅が少し広いので、手の小さな私には、少し弾き疲れするのですが、ネックの厚さはもう少し削れるとのこと。)
「どっちが欲しい?」って言われると、めっちゃ迷うが…TSQのほうですな。(右写真でご主人が持たれているもの)
弾かせてもらったTSQはヘッドインレイの熊(注)が見事だった。
(注:思わず「熊」と記載しましたが、読者の方々の指摘で、「狼」又は「犬」に訂正いたします。なぜ間違ったのでしょう(笑))
(左写真はBlueGさんのサイトから借用。写真では分かりにくいですが、ホンモノはもっと見事でほれぼれする出来です。)
オールマンさんのサイトで申し込めば、貸し出しトライアルで、これらのギターを試奏できます。
価格もオールマンのサイトで確認できますが、どちらにせよ40〜50万円の出費です。
でも、それだけの値打ちがあるギターです。一生モノのギターをお探しの方はお勧めです。
って、オールマンの宣伝みたいになりましたが、形も好きなタイプだし、ほんとしっかりしたツクリのギターでした。Webで眺めていたギターを実際弾いてみて、「なるほどご主人が自信持って紹介しているだけあるや」と思いましたね。
さて、次はSUMI工房。こちらもギター、フラットマンドリンの製作で有名です。(長野県から)
SUMI(鷲見)さんのブースにおいてあった巨大マンドリン。
「おもしろいなぁ。」なんてつぶやいていると、「どうぞ触ってみてください。」と勧められ、弾かせてもらった。
(奥の白シャツのかたが、鷲見栄一さん。ライクーダ-やデビッドグリスマンからも発注があるという!最近ではシェリーギターの製作で有名)
チューニングが普通のマンドリンとちがうし、当然音も普通のマンドリンとはチョット違う。
しばらく触ったあとにお手本をみせてくれた。(サウスポーで弾かれています。)
「おじいさんの古時計」なんぞも演奏してくれました。
なんといったらいいのでしょう?ミニ12弦ギターとマンドリンを合わせたようなユニークな音でした。
このマンドリン、値段はいくらなのでしょうか?尋ねるの忘れていた…。
さて、SUGI CRAFT(富山県)のブース。
SUGI CRAFTのギター、ボディシェィプは私の好みです。
SUGI CRAFTのギターの特徴はナント言ってもサウンドボード・サポートシステムでしょう。
ちょっと専門的な話になりますが、サウンドボード・サポートシステムの解説をば。
ギターは、トップ(表板)が弦振動で震えて音が出るのですが、当然このトップ板は振動しやすいシンプルな構造でなければならない。
しかし、悲しい事ながらスチール弦は張力が強いため、ガットギター(ナイロン弦)に比べ沢山の補強木をトップ板の裏側に貼り付けなければならない。(ブレーシングと呼ばれるモノ)
補強木が無いとギターの表板は、張った弦の力に負けてブリッジが剥がれたり、トップ板がふくらんで、楽器として使えなくなるのです。
しかし、沢山の補強木を貼り付けると当然トップ板の振動が妨げられる。(つまり音が鳴りにくくなる)
この相反するふたつの事は、昔からスチール弦のギターを製作する者にとって大きな課題であった。
これを解決したのが、SUGI CRAFTのサウンドボード・サポートシステム。
ガットギターのブレーシング(補強木の少ないタイプ)を採用し、音の鳴りを確保。
そして、トップ板の変形を防ぐために、ブリッジ裏からワイヤーとスプリングを使い胴板に固定させている。
このシステムも年々改良を重ねているとの事。
なるほど、弾かせてもらったが、鳴りが良い。音がバーンと前に出てくる感じ。
高級なハカランダよりマホガニーのギターの音が良かったなぁ。
これも30〜40万円でオーダーメイド。
SUGI CRAFTギターの詳しい情報は下記URLからどうぞ。
さぁ、あちこちのブースを廻っているうちに、会場の隅っこで展示楽器を借りた人たちのセッションが始まった。
バイオリン、ギター、のおっちゃんに混じり、女性アコベースの3人がジプシージャズを始めた。(写真・左)
おっと、そこへまるで「こうなる」事を予期していたかのようにスタッフの一人が荷物置き場に走り、急いでケースからアコーディオンを取り出し参加!(写真・右)
いやぁ、楽しそうだったね。周りの人たちもヤンヤの喝采。。。
さて、グルグルと会場を歩き回り、(他のお客さんが試奏しているブースでは、ギターが触れないので、空いてるブースを見つけるためにグルグルと…)いろいろな手工ギターを弾かせてもらいました。
お世話になったルシアーさんを全部紹介したいのですが、紙面の都合で割愛します。
という訳で、最後にもうひとりだけ紹介しておきましょう。
左の写真、夢弦堂(東京都)のギター。今まで聴いた事のないブランドでしたが、弾かせてもらうとすごくいい。
特にコア材で作られたギター(写真の一番左)、メリハリの利いた音ながらも、どこか優しい音がして、気にいりました。
このギターも独特の製法が施されています。丁寧な作りです。
このコアのギターは特別に作られたそうなのですが、「同じもの作れますよ」との事。
お値段は…「50万ちょっとかな?」だって…。
左の写真、アロハシャツの男性が夢弦堂の西貝さんです。
サイトは下記。
http://www5.ocn.ne.jp/~mugendoh/
あの小室等さんも西貝さんのギター愛用者とのことです。
タバコを一服していると、「今日はもう100万円も使ってしもたわ。」と言ってるお客さんが居ましたが、欲しいギター全て発注してしまうと、私も150〜200万円使ってしまいそうです。(笑)
左写真はWade Instruments(大阪府)の「昨日出来上がったばかり」のギターを弾かせてもらってる私。
この他にも、
forM(愛知県) http://homepage2.nifty.com/form/
シモギターズ(東京都) http://www.shimoguitars.com/
など、素晴らしい手工ギターが出展されていました。
手工ギターに共通して言えることは、「弾きやすい!」ってこと。
弦高はもちろんのこと、ネックを握っただけでワクワクしてしまう。
ミディアムゲージを張っているギターも沢山あったが、まったく弾きやすい!
時間が経つのも忘れ、素晴らしいギターたちを弾きまくった。。。
ただひとつ残念だったのは、左手指の爪を切ってくるのを忘れたこと。。。
だって、伸びた爪が邪魔してうまく弾いてやれなかったんだもの。ごめんな、素晴らしいギターたち。