vol 33.ジム・クロウチ(その3)

ジム・クロウチの唄を聴いていると、"街"が見えてくるような気がした。

当時アメリカという国に行った事もないし、想像の域でしかなかったのだが、田舎者がアメリカの都会に馴染めなく自分の存在を見つめなおしている…そんな雰囲気が日本の片田舎の青年の心をゆさぶったのではないだろうかと思う。

 

I Got A Name(アイ・ガッタ・ネーム) 、 Operator(オペレーター)、New York Is Not My Home(ニューヨークは好きじゃない)の3曲は、私のお勧めです。是非聴いてほしい。

(リンク切れがなければ、ア○ゾンのサイトから試聴曲が聴けます。こちら

(こちらは、海外サイトVH1.com。ほとんどの曲の一部が試聴可)

 

ジムの歌は、曲の良さもさながら詩も良い。

 

で、今回CDを入手したと同時に、歌詞をもう一度読みたいって思ったのである。

VOL32で紹介したファンサイトに、ジムの唄がほぼ全曲歌詞アップされている。

いやぁ、Webの世界っていうのはありがたいねぇ。

 

そこから歌詞を読み込み、翻訳ソフトで翻訳してみる。

いやぁ、PCも便利になったよね。

 

しかし!である。

翻訳ソフトってのは(私のPCに入っているモノが拙いものなのかも知れないが)イマイチですな。

 

たとえば…。

 

 

Photographs and memories

Christmas cards you sent to me

All that I have are these

To remember you

 

っていう「Photographs and memories」の歌詞なんかは

 

写真とメモリー

私に送ったクリスマスカード

私が持っているすべてはこれらです

あなたを記憶しているために

 

 

と、まぁ比較的にうまくいくのですが、私の一番好きな曲「I Got A Name」のサビ部分、

 

But I'm livin' the dream that he kept hid

Movin' me down the highway

Rollin' me down the highway

Movin' ahead so life won't pass me by

 

なんかは、以下のように何がなんだかさっぱりわからん状態になる。

 

しかし、私は、ハイウェーの下のlivin彼が、

隠されたMovinを保持した夢です

ハイウェーに沿ったRollin'私

前のMovin' 生物が、私を、過ぎることに通過しない 

 

Rollin'私ってなんや?

そのたびに、英和辞典を片手に実際の唄を聞きながら、前後関係を把握しながら、訳しなおすことになる。

こりゃ、余計に時間がかかるわ。笑。

 

そんなこんなしながらこの夏は、夜毎「夏休みの終わりにあわてて宿題を片づけている子ども」のように訳詞をしたのである。

 

 

彼が隠した夢のなかに僕は生きている 

ハイウェーに連れていってくれ

ハイウェーに転がしてくれ

人生が僕の上を過ぎ去ってしまわないように

 

決して、正確な訳詞ではないだろうけど、彼はきっとこういう風に唄っているんだ(いつも翻訳する時はこういうふうに自分に言い聞かせて安心している。笑)、と勝手な訳詞をしている。

 

 

しかし、気になるのはこの翻訳ソフトの融通の無さ。

 

 Well, it started out just like a dream

 

というようにWell、という繋ぎの言葉が入ると、几帳面にも

 

よさ、それは ちょうど夢のように出発しました

 

と訳す。「よさ」って何やねん。今日び、誰もそんなこと言わんでー。

 

 

話がだいぶそれてしまった。

こうやって、歌詞を翻訳してるとジムの人生が見えてきてちょっと涙ぐんでしまうことがあった。

 

ジムの唄はアコースティックギター2本の演奏を基本とした構成であり、それが又すごく気持ちよいアンサンブルなのである。

そんなに難しいことはしていないし、うならせるテクニックも無いが、ほんとに心に染みる…。

相棒のモーリーは、言わば石川鷹彦みたいなギターでしょうか?

そういえばジムの唄も良く似たコード進行と唄いまわしが出てきて、ひょっとして吉田拓郎に通じるかもしれない。笑。

 

若い頃は、こんな風にギター2本でカッコよくやりたいなぁと憧れたが、到底マネできなかった。

すごく大人のサウンドのように思ったのである。

今、聴き返すとたいしたテクニックは無いのだが、30年前の曲だと思うとやはり今更ながら感嘆してしまう。

 

で、心に響く唄。

ワンパターンの曲だから、長生きしてもこれ以上のヒット曲は出せなかっただろうとやっかみ半分で言う人も居るようだが、あの短い音楽人生のなかでこれだけの名曲を残せるのは凄いことだと思う。

その背景には、彼がいろんな街で経験した喜びや悲しみが彼の胸の中にギュッとつまっている事と、それを素直に歌にできる感性があったからだと思う。

 

街が彼を育て、彼が街に裏切られたこと、それは愛する人との別離に通じるものがあるのかも知れない。

彼の歌にはそんな切ないフレーズがいっぱい出てくる…。

 

最後に、やっと売れるようになった頃作っただろうと思われる私の大好きな曲「I Got A Name」の訳詞をお届けします。

このあとすぐに、あの世に逝ってしまったのかと思うと居たたまれない気持ちになる…。

 

 

 アイ・ガッタ・ネーム

 

曲がりくねった道の路地にある松の木のように、

僕は名前を手に入れた 

さえずる鳥としわがれ声のヒキガエルのように、

僕は名前を手に入れた

そして、僕はお父ちゃんのようにそれを携えるんだ

彼が隠した夢のなかに僕は生きている 

ハイウェーに連れていってくれ

ハイウェーに転がしてくれ

人生が僕の上を過ぎ去ってしまわないように

 

北風が空の下をほえて吹くように、

僕は歌を手に入れた 

ヨタカや赤ん坊の叫び声のように

僕は歌を手に入れた

そして、僕はそれを携え歌うんだ

もしどこでも僕をつかまえられないなら、

誇りをもって行くよ

ハイウェーに連れていってくれ

ハイウェーに転がしてくれ

人生が僕の上を過ぎ去ってしまわないように

 

僕は自由になったのさ

馬鹿のように、僕は僕であり、

そしていつもそうしていこう

僕は夢を手に入れた

考えを変えることはできるけれども、

僕を変えることはできない

僕は夢を手に入れた

君が望むなら分けてあげるよ

もし自分の道を行く気があるのなら僕も一緒に行くよ

ハイウェーに連れていってくれ

ハイウェーに転がしてくれ

人生が僕の上を過ぎ去ってしまわないように

 

 

   (完)

 

 

・追伸

その後、翻訳ソフト「本格翻訳3」(NEC製 ソースネクスト社販売)を手に入れた。

これを使って翻訳を試したところ、少しましな翻訳になっているけど、やはり歌詞の翻訳には万全ではない。

そりゃそうだよね、ちゃんと翻訳できるっていう事は新聞記事みたいな詩っていうことなんだから、詩じゃないよな。(笑)

でも、すごかったのはVOL32に記した私の文章を英語に訳したら、次のようにちゃんとした英訳になったこと。(笑)

 

29歳でやっと売れて、1年間の全米ツァーだけで逝ってしまったジム。

しかし彼の短い音楽人生において残した素晴らしい唄は、今も輝いている。

 

Jim who sold barely at 29 years old and had died only with the all-America group tour of 1 year.

However, the wonderful song which was left in his short music life is shining still.

 

・追伸

日本のサイトにもジムクロウチが紹介されているページがありました。

Breezy's Pops! (無断リンクです。当時日本で発売されたレコードジャケット満載で紹介されています。)

 

 

 VOL34.

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