vol 41.春一番コンサート(その5)
■女も男もみんな泣いて生まれた まるいまるい地球
雨空のせいか少し薄暗くなってきた16:40頃、私にとっては久しぶりのご対面になる加川良が登場。
加山雄三、大川橋蔵、池部良の男前3俳優からとったという芸名。
これが真実かどうか、35年経った今でも本人に確認できずじまいである。(笑)
ステージでセッティングを始めると、熱狂的ファン達(30年前の少年少女達)がステージ前に…。
しばし、躊躇したものの私も負けじと(笑)かぶりつき席へ。
チューニングしながら、客席から飛び交う「良ちゃん!」の声に、いちいち顔を向けながら、「あっ、あんたも来てるの、ありがとう。」みたいな仕草をしてくれるのが、良さんの人柄ですね。
渡さんの逝去からまだ半月も経っていないのに、明るくやさしい笑顔の姿は心の大きさを感じさせてくれました。
「心配せんでも春一はなくなりませんから。やめんでも、勝手にひとりずついなくなっていくんやから…」みたいな事を言ってましたね。
昔からのパラドックス的な言葉が、愛を感じさせられます。
加川良の唄にはスライドギターが似合う。
律さんやヤコヤキが務めてくれていたスライドは、近年「すぎの暢」が担当。
初めて聴きますが、結構えぐくて良かったです。
ジャクソンブラウンとリンドレーのコンビは見られないけど、加川良withすぎの暢はこれからも続けてくださいね。
スタンディングで弾いてたフライングVみたいな形の白いラップスティール(って言わずにスタンドアップスティールって言うらしい)がカッコ良かった。
そうこうしてるうちに短い時間で加川良のステージが終わった。アンコールも出たが「春一はアンコールなし。これもお決まり。」というあべちゃんのお言葉。
結局、高田渡にまつわるコメントや唄は一切無かったところも、逆に良さんらしいと言うべきだろう。
うれしかったのは、好きなアルバム「アウト・オブ・マインド」に収められている「あした天気になあれ」を歌ってくれた事でしょうか。
この曲を生で聴くのは初めてでした。
あれから1週間経って、「アウト・オブ・マインド」を引っ張り出し、久しぶりに聴きました。
CD聴いていると、実は先立った岩井さんや渡さんに思いを馳せて、これを唄ってくれたんではないかと気づきました。
1コーラスめの歌詞のみ掲載します。
「あした天気になあれ」
雨があがって 陽だまりの中 時はころがりつづけ
僕はまた ひとつ乗りおくれ 国道に立っていた
光る風と かげろうにもつれ 川の流れに沿って
あなただけが この道のりをわかってくれる
「ヨシローバンド」。
ツインドラムとギター、ベース。
こういう編成のバンドも貴重ですね。
しきりにあべちゃんがステージ袖から、太鼓の音をもっとあげろとPAさんに合図していました。
PAさんは何言うてんの、これが一番ええバランスや、と笑って全く相手にしてなかったようですが。
続いて「アチャコ一座」
ここも初めて観るバンドです。シニカルな内容がよかった。
♪あっちゃこっちゃ、あっちゃこっちゃ♪って歌う曲、ほんま良かった。一人で浮けまくりやった。
後日調べると、アチャマゴ、つまり偉大なお笑い芸人「花菱アチャコ」さんのお孫さんだとか。
■なんて言えばいいんだろ なんて言えばいいんだろ 離れても離れても きっと消えない
陽も落ちた(って、雨やからずっと落ちていますが…)18:00頃、登場したのは「矢野絢子」
ピアノの弾き語りです。この人も初めて聴きましたが、ごっつうええ雰囲気でした。すねた感じですが唄は結構ストレートに心に響いてきます。
メジャーデビューしてまだ1年との事ですが、大ブレークの予感です。
というか、こういう人が若い人に支持されないといかん、と思います。
ほんま、ええ唄歌ってくれました。
■夕暮れの街で僕は見る 自分の場所からはみだしてしまった多くの人々
1曲目に高田渡の夕暮れを唄ってくれた「大塚まさじ」
バックの月夜のカルテット(ギター長田和承 ・ドラム島田和夫・ベース船戸博史) に加えてハーモニカはアリちゃん。
渡さんの曲にアリちゃんのハーモニカ、感激!
やっぱり、春一番の顔と言えば、大塚まさじさんですね。
ディランUの解散が1974年だったのですが、この時期に発表した「悲しみの街」「この世を悲しむ風来坊に捧ぐ」の2枚のアルバムは当時の春一番ミュージシャン・フルキャストともいえるメンバーが集まり、どれも素晴らしい演奏で鳥肌がたちまくりでした。
で、あの頃に比べて格段にかっこよくなっていたのが長田タコヤキ和承です。
渋い風体です。当時から派手さはなかったものの、いろんな人のサポートとしてその実力は知っていたものの、今回はそのルックスが目茶かっこよかったです。
このあと、天王寺想い出通り、プカプカと代表曲を聴かせてくれました。
ある意味、春一の象徴的な曲である「男らしいってわかるかい」の演奏が無かったのは、これが終わりでは無いってことか?
■春一番のステージにあがった
さて、大塚まさじがトリで初日は終わりと帰り支度を始めようとしたが、まだあと2組ほど出るとか。
ラス前は宮武希さん。
盛り上がったおじさんたちの熱気をゆっくりほぐすような歌声が、すっかり夜になった野音にやさしく響きました。
ベースのおっちゃんのルックスが異彩を放っていますが、実はその道では有名な松永孝義さん。
ギターの今井忍さんもアーリータイムストリングスバンド、パーカスのANNSANも多方面活躍中、という事で一流ミュージシャンが宮武さんの唄をサポート。
いやぁ、大人の世界です。
そして、いよいよ最後になりました。
誰がトリを務めるのかと思ってたら、ナント開場の時にピアノで出迎えてくれた「リクオ」ではありませんか!
私が知っているリクオの曲調(R&R?)とは、イメージが異なるステージでした。
客席からも名曲「胸が痛いよ」の声が出たが、「おっさん、場の空気読めよ。(笑)」と返していた。
この日はチェロの橋本歩との演奏。
それにしても、ちょっとルックスが「やしきたかじん」に似てきたでぇ。(笑)
知ってる曲はほとんど無かったのですが、いいパフォーマンスをしてくれました。
「高田渡が言った、死ぬまで生きると。それは真実である。」みたいなフレーズを合間にシャウトしたのが印象的でした。
(リクオのサイト KIMAGURE DIARYに書かれている「高田渡さん追悼」のエッセィは興味深い)
右の写真が、チェロの橋本歩さん。
ここで、お気づきのかたもおられるかと思いますが、このショットは客席側からではありません。
リクオが「まぁ、皆そんなとこで聴いてんと、ここにあがってきたらどうや?そんなこと有りも春一番やし。」(大意)と、呼びかけて客をステージに上げたのです。
もちろん、この私もステージにあがり、歩ちゃんのすぐ後ろに体育座りしたんです。(笑)
ステージの上なんで、当然聞こえるのはモニターからの小さな音と生音だけです。
これが又、気持ちよかったですね。
とうとう、憧れの春一のステージに上がれたのです。(笑)
リクオありがとう!!
こうして雨の中、2005年春一番コンサートの初日はあっと言うまに終わった。
こんな天気でおよそ9時間のコンサート。
途中で帰りたいと微塵にも思わなかった魅力が、さすが春一番でした。
このあと5月2日、4日、5日と合計4日間のステージが行われ、どの日も熱気あふれるコンサートになったとか。
(他の日のリポートは、いろいろな方がブログなどにアップされていますのでご参照ください)
5月4日の夕方に、毎日放送TVで春一番コンサートのニュースが流れた。(5月2日収録のものと思われる)
このインタビューで風太さんは、「(今年で終わりになるか)そんなことは、わからへん。誰にもわからへん。そやからおもしろいのとちゃうかな。」と応えてはりました。
そう、来年以降は、誰にもわからない。
でも又、皆が集まって「笑い・泣き・叫ぶ」機会がきっと来る。
そう信じている。
春一番コンサートは私にとって「永遠のモータウン」ならず「永遠のオオサカ」であるのだから。
風太さん、あべちゃん、そして沢山のスタッフの皆さん、出演者の皆さん、お疲れ様でした。
そして、ほんまに「ありがとう」。
P.S
今回のレポートの出演順などについては「はっちゃんと春一番コンサート」を参考にさせていただきました。
春一番コンサートの情報ならこのサイトがお勧めです。他の日のライブレポートなども、はっちゃんのサイトに行けば掲示板にレポートされた方のリンクありますので、ぜひどうぞ。