vol45.祝春一番コンサート(その3)
2006年5月5日(Ver3)
■真昼間のフリージャズかいな
これは、坂田明トリオの演奏時に、お話していた春イチ関係者の某有名人の方のお言葉。
にこやかな顔で言われたのが印象的です。
これも春イチや、ということなんでしょうね。
サックス・坂田明、ドラム・豊住芳三郎、ギター・ジム オルーク。
ジムは椅子の上に置かれた小さなおもちゃみたいなアンプで音を出していたのがおもしろかった。
曲の間に何度もピックを変え(多分、いろいろな素材や厚みのもの)演奏していたのも興味深かったです。
しかし、坂田先生、延々と吹きつづけるその体力には脱帽です。
そして翌日に、ずっと客席で他人の演奏を聴いておられた坂田さんのお人柄にすごく尊敬の念を感じました。
世界のトッププレイヤーなんですよ、そんな人がアチャコ一座のステージに大笑いされているのを見て、滅茶苦茶うれしかったです。
■大御所登場
九番手は山下洋輔カルテット。
坂田さんより難解やろなぁ、と思っていたのが大間違い。
非常にメロディアスな楽曲でわかりやすかったです。(笑)
確か1973年の春一番に出演されたと思いますが、あの頃は全くおもしろなかった(というか難しすぎてわからんかった。笑)記憶しかなくて、その後もタモリの発掘人として、あるいは全日本冷し中華愛好会の会長として、あるいは浅川マキとのジョイントとか、最近は綾戸智絵とのジョイント、ほぼ日刊イトイ新聞などでお目にかかるのですが、まるで理解不能なんですよね。
彼の音楽より山下洋輔という人間に興味があって、なにかにつけチェックを続けております。
しかし、何と言うことでしょうか。
この日の山下洋輔の音楽は非常に分かりやすかった。
「柳原旭(b)・小笠原拓海(Dr)・米田裕也(As) 、彼ら3人の年齢と僕の年齢がほぼ同じです。」
そんなMCと若い連中を引き連れてのカルテットが分かりやすい音楽にしてくれたのでしょうか?
おかげで、冷静に山下洋輔を見られたし、肘打ちピアノが的確にベース音を捉えていることを発見しました。
30年間理解できなかった音楽をこの日に理解できたのです。
こんなことに気づかせてくれたアベちゃんに感謝です。
■Keb’Moや
Jazzシーンが終わったあと十番手に出てきたのは三宅伸治。
先日の木村充揮30周年記念コンサートでも、見事なバイプレイヤー振りを発揮していましたが、ソロのステージでも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。
言わば、ライト・イン・ア・ボトルで脇役に徹しながらも「うつろな愛」で渋い歌声を聞かせたKeb’Moに通じるんじゃないかと。
ドラムは島やん、ベースはSHO。
最後はAZUMIやフルート有山(笑)も出てきて最高でした。
’80年代のデビューだそうなんで、私にとっては馴染が無いのですが(80年代は音楽から縁を切っていたので、笑)、初めてナマで聴き結構イケテルって思いました。
■なごみ
そろそろ終盤に近づきました。
十一番手。
小川美潮withウズマキマズウ。
上から読んでもウズマキマズウ、下から読んでもウズマキマズウ。(笑)
そんな冗談を頭の中で繰り返していましたが、小川美潮さんの澄んだ歌声は和みでしたねぇ。
しかし、翌日の歌声のほうが更に良かったので、そちらで又。
■立っても弾けるんやでー
「はじめにきよし、はじめにきよし、はじめにきよし…、タララ・ラター・タタッ」
去年の春イチで聴いた時、衝撃度は一番でしたね。
ほんまにええ子やで、この子ら。何べんも言うけど…。
大詰めの十二番手に出演した「はじめにきよし」。
「今日はうれしいんです、いつもは15分しかもらえへんのが、今年は25分もらえたんです。」
ハヂメ君、それは君らの実力で勝ち取ったもんやで。
見事なノコギリ音楽。これは世界一やと思う。あれだけ完璧な音階を出せる奴おらへんでー。
「お〜まえは〜アーホーカ、をやれーっ」と野次ってたのは有山さん?(笑)
有山さんは、早々に出番が済んだんで、昼からは完全にお客さんになっていた。(爆)
ええ人やな、この人も。
去年はもう少し聞きたいなぁと思っていましたが、今年はハヂキヨ堪能させていただきました。
キヨシ君のピアニカも素晴らしい。
なんでも来いで演奏できるのは、沢山の音楽を聴いているからなんでしょうね。
ほんまに歌心ある演奏やった。
ハジメ君のギターはヤイリ(多分)に変わっていたけど、去年よりええ音してたでー。
■うまくて安い大衆食堂
てっきり、トリやと思ってたが、ラス前に出てきたのは、「大西ユカリと新世界」
今日楽しみにしていたバンドのひとつで、初めてナマで聴かせていただきました。
いやぁ、人気もすごかったけどステージが熱かったですね。
おばちゃんがひとりでキリモリしているおいしくて安い大衆食堂。
そんな印象を受けました。
「俺たちゃ裸がユニフォーム…」
唄いだしたのはアパッチ野球軍。
アニメソングだったはず…。
おぼろげに思い出してはみるものの、定かでない。
ちょいと調べました…。
あぁ、そやそや、はちゃめちゃな漫画やった。
1971年から72年にかけて放映された(しかも19:30〜20:00のゴールデンタイムに)アニメの主題歌です。
あまりにも大胆な歌詞…
俺たちゃ 裸がユニフォーム
たまにゃ蜂にも 追われるけれど
ファイト ファイト ファイトひとつが財産さ
しかし強いぜ 負けないぜ
俺たちゃ アパッチ野球軍
俺たちゃ 裸足がスパイクさ
たまにゃ 三塁へ逆走するが
度胸 度胸 度胸一つが財産さ
しかし怖いぜ 逃げないぜ
俺たちゃ アパッチ野球軍
俺たちゃ 強いが売りものさ
たまにゃ大負け カッともするが
根性 根性 根性ひとつが財産さ
しかし なんだぜ 泣かないぜ
俺たちゃ アパッチ野球軍
どこから探してくるねんな、こんな曲…。(笑)
しかし、作詞が原作者でもある花登筺さん、作曲が服部公一さん。
超一流のコンビやありませんか!
しっかりと盛り上げて、ラストにバトンタッチしてくれました。流石です。
■いよいよトリです
曽我部恵一。
この人も名前は知っているものの聴くのは初めて。
若いファンが多く、ステージ前は大混雑。
途中、弦が切れ急遽ギターを借りる。(光玄のギター?)
で、「曽我部さんのファンだったんです。」
と言う今年2月に吉本新喜劇の新座長に就任した小籔千豊が客席からステージに。
ちょうどギターを取り替えチューニングをやっていたつなぎでMCを。
「藤井裕さんは、子供の頃近所だったんで…」って曽我部のバックに入ったベース裕ちゃんの話題も。
世間は広いようで狭い。
そして、こうしたつながりってのも大阪ならではですな。
こうして、祝春一番の2日めは「Telephone Love」の大合唱で終わりを迎えた。
しかし、この日は暑かったぁ。
顔も腕もまっ赤になってしもた。(そろそろ皮が剥がれ落ちてくる頃や(笑))
晴れ渡る5月の青い空。
そんな風景の音楽会も春一番です。
この日はステージだけじゃなく、いろんなモノを見たりできたが、その話は又別の機会に。