vol 14. 中山ラビ

中山ラビである。中島らもではない。

中山ラビは私のなかではジャニスジョップリンより衝撃的な女性シンガーなのである。

1974年の春一番(大阪・天王寺野外音楽堂で毎年5月に行われていたコンサート)で聴いた「夢のドライブ」という曲は18歳の少年のその後の人生を変えさせてしまったのである。

この際告白しておくが、実は客席にて身体の異変に気づき「自分は男なのだ」と実感した経験が過去に二度ある。

ひとつは、小学4年生の時に母に連れて行ったもらった「吉本演芸場・京都花月」(今はもうありません)で、ウラ若き女性がモロ肌(今で言うハイレグっていうやつですか)で自転車の曲乗りをやってるのを見た時。そしてもうひとつが「夢のドライブ」を聴いた時。なのです。

中山ラビは、それほど衝撃的なシンガーだったのです。私より6〜7歳お姉さんなのですが何ともいえぬ存在となり、そしてあれから早25年経ってしまったのです。

今日(2000/10/07)15年ぶりに活動を再開したという中山ラビに、京都のライブハウス「都雅都雅(TOGA TOGA)」で再会できた。

半年前にヒョンな事から中山ラビのサイトを見つけ、活動を再開したとの情報を得て「いつ関西でやるのだろう?」などと思ってるうちに知人のNさんから「ラビのチケットあるけど」って話が舞い込んだ。。。

「行く!!。買う!!!」とひとつ返事でチケットGETして、待ちに待ったライブ。15年ぶりの単独京都ライブ。

買ったチケットは整理番号が結構若くって(「都雅都雅」はチケットの整理番号順に入れてくれるのです。)座れた席は椅子席2列目。次々とお客さんが入場してきて開演30分前には150人くらいの客で埋まってしまった。

しばらくして「ステージ前に座っていいよ」というスタッフの声につられた椅子席1列めの人が桟敷に移動したため、すかさず椅子席最前列真正面に移動。すごい席に座れることになった!

この位置って、ラビの真正面(約3m)で、私の目線のまっすぐはラビの腰に行き着くのです。(前列は桟敷に体育座りした約30名のお客様。視界を妨げるものは何も無い。)

これってまずいんじゃありません?この歳になって3回目の「自分は男なのだ」を経験してしまうかも知れない…。

そんな不安(もっと真面目に!なんて言わんといてくらはい)を抱きながら1H後にライブがスタートした。

ラビ様(おいおい、様が付いてるぜ)がステージに現れ、ギター1本で曲が始まった。3曲目の「その気になってるわ」4曲目「人は少しづつ変わる」が終わり、EG(加藤博之)EB(小川ヒロ)KB(森英治)Per(山口トモ)がステージにあがり「ラビ組」の演奏が始まると完全に18歳に戻ってしまった。(18歳に戻るともう大丈夫。18歳に「自分は男なのだ」を済ませてしまってるから。)

しかし、すごい。ナニがすごいかというとラビが若い、可愛い。声も昔のままである。いや、昔より唄が上手くなっている。細かなライブレポートは中山ラビサイトで紹介されるはずなので省略するが、一言「まいった」というのが素直な感想。今日、この場でラビを初めて聴いた若い人達は幸せである。そしてPerの山口トモのリズムとキャラクターがすごい。今後も要Checkです。

ラビの音楽は昔のモノと侮るなかれ。今、聴いても感動し新たな発見をする曲が多い。特に、1974年発表の「ラビ:ひらひら」というアルバムは名盤です。

 

 

「時間があったら、賀茂川や、高瀬川沿いに歩きたかった」「今日は京都に来られてうれしい」って何度も言ってくれたラビ。ラビは18歳で家出して大阪や京都・滋賀で、人間のずるさ・強がり、そして優しさを学んだんだよね。

そんな事が京都でのライブ、だいぶプレッシャーになっていたんじゃないだろうか?

2曲目の「眠れない夜」の途中で歌詞が途切れてしまった。

唄い終わったラビは、MCで次のように言った。

「歌ってる時、あの非常口のライトの下に、なつかしい人の顔を見つけました。で、思わず歌詞が頭から飛んでしまいました。すみません。ひょっとして……ま・さ・きさん?」

その非常口のライトに映し出され歩いていたという「まさきさん」は、私の横の席に座ってるおばさまでした。ラビのMCに答えるように、そのおばさまは手を振り、絞るような声で「ラビ、頑張れ」って言ったきり次のラビの曲が唄われるあいだ中、むせび泣いていた。。。

知らぬうちに時間が過ぎ終演まぢかに「夢のドライブ」が唄われた。で、アンコール「ドアを開けて」が唄われ2時間のステージが終わった。ライブは終わった、でもこのライブがラビにとって(そして僕達にとって)「関西ライブ」の新たな始まりである事を信じる。

 

P.S

今日のライブのチーフスタッフは、チケットをまわしてもらったNさんの奥さんの妹さん(のぶこさん)であった。

この人とも20年ぶりである。今、古谷先生のところでJazzの勉強をしてるとの事。

この人のおかげで、いいチケットをまわしてもらったんだな。ありがとう。

帰り際には、すごいお土産もいただきありがとうございます。なんか、今年はすごくラッキーなこと続いてるな。

今日ラビを聴いて、俺も勇気づけられた。あと30年唄えるよね、お互いに。

 

 

 2003.03.15.VOL30 にて「2003LIVE中山ラビ!」を追加しました。

 

 

 VOL15.「YAMAHAのギター」

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